伊藤セツ研究BLOG

このブログは、当初は、勤め先の教員紹介に付属して作成されていたホームページ。定年退職後は、主に、教え子たちに、私の研究の継続状況を報告するブログに変えて月2-3回の更新。
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2007年度のはじめに(平成19年4月3日)
4月3日に、とうとう2007年度の入学式を迎えました。とうとうと言っているのは、私も定年まで丁度2年にせまったという意味であり、科学研究費4年間の2年間が過ぎてクラーラ・ツェトキーンの生誕150年(7月5日)が目前だということう意味です。

 すでに、2007年4月1日(日)と2日(月)、この年度のはじめに、「ローザ・ルクセンブルク国際学術シンポジウム第15回ローザ・ルクセンブルク国際会議」(主催:ローザ・ルクセンブルク国際協会=代表 伊藤成彦、ローザ・ルクセンブルク財団=代表 エヴェリン・ヴィッティヒ)が中央大学駿河台記念館でひらかれており、1日はフルに、2日は、本学の新年度の重要行事である辞令式、学科会、部科長会、教育会議、在校生の始業式が終わってから駆けつけるという落ち着かない参加の仕方でしたが、とにかく、クラーラ研究にとって避けて通ることができない、しかし、これまで避け続けてきたローザ・ルクセンブルクによって私の今年度の幕が開いたのです。



クラーラ・ツェトキーン・コロッキウムの方は、1980年代の東独時代にずっと追ってきた私ですが、このコロッキウムは、1968年から1989年まで10回開催した後、ソ連・東欧の社会主義の崩壊、両ドイツの統一後は、絶えて開かれていません。しかし、ローザ・ルクセンブルクの方は、1980年にチューリヒで第1回を開催した後、1980年代に5回、1990年代にますます盛んになって、10回開催されてきたのです。私は 15回目にしてはじめて参加の機会をえたのですが、会議には中国のローザ研究者の報告が本数として目立ち、ブラジル、アルゼンチンやインドの研究者の報告も目を引きました。ヨーロッパは、ドイツ、オランダ、オーストリア、米国からの報告もありました。会議は、有難いことに、日本語、独語、英語の同時通訳で行われました。外国人35名を含む100名ほどの会でした。

 

会議の参加者は、ローザの人そのものから言っても単なる研究者ではなく、市民運動の参加者と見受けられ、彼らからは、グローバル化した世界で犯され続ける平和と、崩壊したソ連型社会主義へのオルタナティヴへの希求を強烈に感じました。

 私はドイツからの参加者、ウラ・プレナー(Frau Ulla Plener)を探していました。昨年の夏ベルリンでお世話になり、12月に日本にやってきたロルフ・ヘッカー氏から3月の終わりに、メールが入って、ウラと会ってほしいと書いてあったからです。ウラは報告者の一人で、年報『労働運動史研究(Jahrbuch für Forschungen zur Geschichte der Arbeiterbewegung)』編集者で、私は初体面でした。「今年7月6日、ベルリンのカール・リープクネヒト・プラッツにあるローザ・ルクセンブルク・シュテフティンクで生誕150年記念クラーラ・ツェトキーン・ターグンクを開催します。報告を持って参加してくれますか」ということだったのです。7月6日とは、まずい日程ですが、7月5日が、クラーラの誕生日とあってはいたしかたないでしょう。7月5日は無理かと思っていましたが、今年度も科学研究費でドイツに見落とした資料を探しに行こうとしていたので繰り上げて7月にドイツに行こうと心が動きました。7月6日の会議に私が参加しないというわけにはいきません。さてどうやって準備し、抜け出すかが問題です。

 

4月2日の辞令式では、私は、3年任期が終わってほっとしたばかりの、大学院生活機構研究科長の再任の辞令をいただいてしまいました。そして、4月3日、坂東眞理子新学長のもとで、入学式が挙行されました。本当は最後の2年、院生ももたず、役職にもつかず、クラーラの遣り残した研究を心行くまでやりたかったのですが、給料をいただいている現役である限り、そのようなわがままは許されるわけもありません。

この私学の、いや大学の生き残りをかける時代に、働けるものは、能力・体力の3倍も働かなければならず、またまた、メール、電話、書類、相談の人、学生が襲う新学期に突入しました。博士課程の院生、吉田さん、修士課程の院生、温さん、またまた、学会報告だ、審査論文だと、私の腕の力の限り指揮棒を振ることになるでしょう。最後の2年をごいっしょに悔いなく、過ごすことができることを願っています。

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