2011.04.22 Friday
山梨県北杜市神田の大糸桜(樹齢400年) 定年前、そのずっと前も、何十年も、東京の桜の4月は新入生を迎える魔の4月。花見は、構内の手入れのゆき届いた美しい桜1本を横目で見るだけで過ぎた。 2年前、定年後の4月、新宿御苑の桜のいっせいに散りゆく姿を目の当たりにした。桜は散り方がこんなに美しいものかと感心した。惜しげもなく、実に鮮やかである。つつじやアジサイはこのようには散らない。 昨年、新宿御苑まで行かなくとも、何十年も住んでいる地元には有数の桜の名所があることを知った。ここではたくさんの種類の桜が、時差を心得て散る。これも見事であった。 そして今年。東京で桜の咲く季節は、自粛ムードの中で訪れ、去って行った。私は、今年、東京の桜をまともに見なかった。不思議だ。誰もが好きな桜を、人並に、愛でるようになった私はそのことに心落ち着かず、まだ桜が満開の地に引き寄せられた。社会的にも、私的にも、いろいろな意味で、それどころではないという、2011年の4月にである。山々と桜と歴史が観る者の角度によって多くを語りかける山梨県北杜市で静かな花見をしたのだ。 その一つ。写真の桜は樹齢400年。その生は安土桃山時代に遡る。 そして山々は、そのはるか昔からこの地に在った。 この日、わたしたちは、結婚@@年のアニバーサリーであった。この先、まだ形になっていない、今継続中の仕事を、さらに時間をかけて世に送り出さなくてはならない。 そのためにこそ、散り方の美しい桜を観に今ここに来たのだ。 |