伊藤セツ研究BLOG

このブログは、当初は、勤め先の教員紹介に付属して作成されていたホームページ。定年退職後は、主に、教え子たちに、私の研究の継続状況を報告するブログに変えて月2-3回の更新。
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アイデンテティとプライオリティ
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何という暑い8月の終わりだろう。柿の木は青い実と、葉の裏に蝉の抜け殻をいっぱいつけて、ぎらぎらする太陽に、身を縮ませているように見える。

この8月、私は恒例の研究会や学会に一切出なかった。手帳に日程すら書いていない。私が、ずっと関わってきた研究会や学会にである。

考えてしまう。ということは、私のアイデンテティは、こうした研究会や学会にはなかったということなのか。なんだか知らないが私はとにかく、今の研究を完成させたいのである。私のアイデンテティは、定年や年齢にかかわりなく、他のいっさいにもかかわりなく、研究者で在り続けることである。そして今わかりつつあることだが、今の研究がライフワークなのではない。イチローの言葉を借りれば、今の研究は「通過点」なのである。

人間、生きている時間に、その時間を何に使うかの選択肢はごまんとあるが、その選択が自由にできないのが、人生の大半であるように思われる。残された時間が残り少なくなれば、自分のアイデンテティとプライオリテイの絡みで人は慎重な行動をするだろう。一見、矛盾したような時間の使い方もその人の、奥底の思想性というか哲学と結びついている。それは、他人には推し量れないもののように思われる。

とにかく、私の当面の「再校」が終わりの段階に入っている。研究にプライオリティをおきながら人一倍校正において不注意な私が、この猛暑の中で呻吟している。「初校で直します」「再校まで何とか」という甘えがもう許されない恐ろしい段階に入った。しかし「三校」だってだめなのだということはこれまでの経験からわかっている。1984年の500ページの単著の出版の時(あの時は手書き)実に7校までやってもダメだったのだ。
今回は「5校まで」と言われている
9月が少しでも涼しければいいが・・・・・
たとえ涼しくても、9月の学会はもちろん、10月の学会にも出られまい。
優先順位を決めるのに逡巡も許されない。自由な選択も不自由ではある。





| 近況 | 15:28 | - | - |
小休暇は終わった
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 ミュンヘン経由で、オーストリアの小休暇の旅を終え、昨日8月16日帰国した。
33年前も思ったが、オーストリアは、夏の空の色も雲も、山々も、森も野もなんと美しく、そして気温も快適なんだろう。33年前もエッツタールからチロル州の奥に入ったが、今回は、2時間近くバスに乗って、オーバーグルグルまで行った。ここまで来ると日本人をみかけない。オーストリア入りの起点としたミュンヘンはまた、33年前と違って、アラブ系、アジア系の人々が多く見受けられた。少しの時間だったが、33年前に行った、アルテ・ピナコテークに入り、あの時心打たれた絵の前に立った。夜は、ホーフブロイハオスで1リットル入りのビールのグラスを傾けた。室内はものすごい喧騒、熱気むんむん。室外は静かで涼しさをとおりこして寒い。
ミュンヘンも、クラーラ・ツェトキーンと関係なくはない。1902年に、ドイツ社会民主党の大会がミュンヘンで開催され、同時に第二回女性会議も開かれている。クラーラの息子マクシムは、ミュンヘンで医学の教育を受ける。1918-1919年のドイツ革命で、ミュンヘンは一時バイエルン‐レーテ共和国の中心だった。23年には、ヒトラーのミュンヘン一揆が起きて失敗した。
私は、再校を中断して旅に出たが、手には晩年のクラーラと関係がある、アンリ・バルビュスの小説(岩波文庫)をもって行った。第一次世界大戦の参戦を基にした『砲火』である。
旅の最中に、日本の敗戦の日がすぎて行った。
帰国して、旅の整理をしていると、また時間が「早く再校を終えよ!」と叫ぶ。
| 近況 | 22:19 | - | - |
ただいまミニ休暇中
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猛暑の東京を脱出し、校正に明け暮れる日々をあっさり中断し、わずか1週間の休暇中。
今、ヨーロッパの都市にいます。この写真の建物のあるところ、ザルツブルクです。
33年ぶりに観る懐かしくも美しい好きな都市です。
当面は研究とは何の関係もないところですが、再校の続きに取り組む英気を養って帰国したいものと思っています。

| 近況 | 01:17 | - | - |
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